品振山(シナブリ山)
渡良瀬地区の裏山シナブリ山は、渡良瀬地区の東、つまり渡良瀬川の左岸に位置しています。そして足尾の町並みのほぼ全域から望むことができます。
渡良瀬地区の裏山シナブリ山は、渡良瀬地区の東、つまり渡良瀬川の左岸に位置しています。そして足尾の町並みのほぼ全域から望むことができます。
♦ 抜粋:鋼鐵大觀 (東郷ハガネ文庫 ; 第1編)
(前略)寶暦四年(現今より百五十一年以前)に下野國都賀郡足尾村守 品振山 にて硫化鐵を發堀しました、(後略)以上、河合佐兵衞 編 (1916) 『鋼鐵大觀』 河合鋼商店 からの抜粋• 寶暦四年=1754年
• 上記のように足尾の山々からは、銅以外にも 「多種多様な鉱物」 が産出したのでしょう。
左右の写真は、群馬県に通じる国道122号線と粕尾峠に通じる県道15号線の交点の丁字路です。
品振山の登山は、この丁字路から県道15号線を70~80メートルほど進んだ左側に位置する林道から始まります(左下写真:2019/09/20)。
歩き始めるとすぐに送電線の塔が目のまえに立ちふさがります。
左の写真をマウスでロールオーバした時の写真が、その鉄塔です(左写真:2019/09/20)。
鉄塔を過ぎ、尾根上にでると左手には足尾の町並みが広がります。右写真のように尾根上に続く流路溝に沿って歩きます。尾根のすぐ左下側には国道122号線が通っています(右写真:2019/09/20)。
♦流路溝 : 雨水による表土の侵食防止のため設けられた山腹排水路のこと、コルゲート水路、U型水路など。
写真の左奥、中央グランド。グランドの奥と手前が、通洞選鉱所と足尾歴史館。写真手前のグランドと建物は、足尾中学校。中学校の右側から回り込んで流れる川は、渡良瀬川。右奥、肌色の建物は、旧足尾町役場。
テレビ中継塔は、品振山の中腹にあります。右の写真では、中央の白い米粒大の物体が、中継塔です。
写真をマウスでロールオーバした時に変化する写真は、テレビ中継塔のアンテナを撮影したものです(右写真:2018/03/14)。
その中継塔のコンクリート台で、思いがけなくカモシカと出会いました。下を見ながら歩いていた私をじっと観察していたのでしょうか。目と目が合うと静かに姿を消しました。
♦テレビ中継塔 :
国内でテレビ放送が開始されたころ、足尾の山間地ではテレビ視聴はできないと思われていましたが、協同視聴用のアンテナを立て有線によってテレビを見るための足尾中央テレビ共同受信組合が結成されました。足尾中央部で協同視聴による初代のテレビ中継塔が昭和32年(1957)に完成し、テレビ視聴が可能になりました。
"テレビ中継塔" からの眺望は、足尾町展望の お勧めビューポイントです。
… 以下中継塔からの展望 …
テレビ中継塔を過ぎて石の連なる急斜面で一本のヒノキに遭遇しました。石を割って出て来たのか、落石で挟まれたのか分かりませんが健気に生きています(写真:2018/03/14)。
品振山三角点の標高は、1029mです。三角点は、登り傾斜が緩くなった平坦な尾根にあります。落ち葉に埋もれているので登山道にあるのですが見過ごしてしまう恐れがあります。
右写真の三角点は、おおいかぶさる落ち葉をかき分けて写しました(写真:2018/03/14)。
品振山の山頂(いちばん高い所)は、三角点から東へ300~400mほど進んだところです(右写真:2019/09/20)。
地図上の登山道は山頂の真上についているのですが、実際の徒歩道(踏み跡)は山頂の南側を巻いて省エネを図っているので、踏み跡を追いながら歩くと山頂をスルーしてしまいます。もしそうだとしても、写真のように展望のない山頂ですので、がっかりする必要はありませんが、山頂を踏むとやはり嬉しくなるのは何故でしょう。
山頂から東北東に約500mほど下ると、登山道(地形図の破線)が 十文字に交わった地点、コルにでました(下写真:十字路・1014m地点:2019/09/20)。
♦コル :
山頂と山頂の間の低いところ。なお、コルにはほかに、鞍部、キレット、峠など、さまざまな呼び名がある。いずれも、尾根上の低くなった場所を指す名称。
上写真の十字路を直進すれば、三角点1268経由で、古峰ヶ原峠に至る。コルは沢が突き上げる場所でもあり、上写真の左右からも沢が突き上げています。
今回は右に折れ、下ることにします。この場所は水が流れてませんが沢地形のため踏み跡が薄いので、地形を確認しながら注意して歩きましょう。
十字路の直下は、防護ネットで保護されたヒノキの森が続きます(写真:2019/09/20)。
しかし沢状の登山道を下るにつれ、たくさんの樹木が倒れており、コース取りには苦労しました。
写真をマウスでロールオーバした時の写真が、その倒木状況です。
十字路から続く踏み跡の不明瞭な塩の沢の登山道(地形図の破線)を離れて、進行方向左につながる林道(地形図の実線)に出ました(写真:2019/09/20)。
この林道は写真からでも分かるようにしっかりした道ですが、沢の両側に生い茂る藪のため、沢を下る登山道からは見えにくいので、左に注意して沢道を歩かなければ写真の林道を見落とす恐れがあります。
♦このページ内の次の言葉は、同義語として使用しています。
◎ 徒歩道 ⇔ 幅員1.5m未満の道路 ⇔ 破線(地図記号) ⇔ 登山道
◎ 軽車道 ⇔ 幅員1.5m~3.0mの道路 ⇔ 実線(地図記号) ⇔ 林道
◎ 1車線道路⇔幅員3.0m~5.5mの道路⇔二重線(地図記号)⇔車道⇔塩の沢林道
上記の林道(軽車道)を、急ぎ足で歩いていると "塩の沢林道終点"
と書かれた標示が目にとまりました。右下写真のように今にも倒れそうな状況で、背後の木に寄りかかって辛うじて立っていました。平坦地が広がっているこの場所が、"塩の沢林道"の終点のようです(右下写真:2019/09/20)。
平坦地が広がっているその一角に、 "大きな実" を付けた木が立っていました。日本産樹木の中では、花も葉も最も大きい "ホオノキ"
のようです(左下写真:2019/09/20)。
⇒ 樹木 ホオノキ
♦塩の沢林道(自動車道):昭和39年度竣工。幅員3.2~3.6m。延長2,292m。
"塩の沢林道" 歩きも半ばを過ぎたころ、"関東ふれあいの道" の一つ "修験行者のみち" に合流しました(写真:2019/09/29)。
マウスでロールオーバした時の写真は、その "関東ふれあいの道" 標識のアップ写真です。
⇒ 「関東ふれあいの道」の一つ"修験行者のみち"
"修験行者のみち" との合流地点からは、舗装された道を歩くことになります。左の写真は風にそよぐススキの群落です。平坦で広いこの付近は、かつて "内の籠"
地域で農業が営まれていたころの畑の跡地かと思われます(左写真:2019/09/20)。
さて、"修験行者のみち" との合流地点から800メートルほど歩いて、県道15号鹿沼足尾線に合流しました。右写真は、合流地点に立つ
"塩の沢林道起点" 標示を、背後から写したものです(右写真:2019/09/20)。
⇒
"塩の沢林道起点" および "都沢林道入口"
県道15号鹿沼足尾線合流点から国道122号線までを歩きます。今回の山歩きの最後は、県道の舗装道路を歩くことになります。
その前に内籠橋のたもとから沢に下りて塩の沢渓流の写真を撮りましょう(右写真:2019/09/20)。
沢の奥に架かる水路橋からは水管を流れる水が吐出され、滝のように落水しています。
下記三地点は、全て同一地点です。
♦ 県道15号鹿沼足尾線合流点
♦ 塩の沢林道起点
♦ 都沢林道入口
鍵金橋からは、川下に架かるコンクリート姿の "旧鍵金橋"
が見えます(左上写真)。しかしこの時期は緑濃い樹木に囲まれ、ほんの少ししか見えません。
鍵金橋から目の前の大きなコナラの木を眺めていると、どんぐりの実がなっているのに気がつきました(左下写真:2019/09/20)
⇒ 春まだ浅き日の
「旧鍵金橋」
秋草の生い茂る路傍に、一本の草が、すっくと立っていました。 メハジキの花です。足尾の町ではこの花によく出会います(右写真:2019/09/20)。
⇒ メハジキの花
国道に合流する付近の石垣から水が流れ出ています。ちょろちょろした流れでなく、結構な量の湧き水です。のどを潤し、ペットボトルに水を汲んで歩き出せば、まもなく山歩きも終了です。お疲れ様でした。