大平山(1960m)
全国で大平山または太平山と表記されている山は98座あります。その中で最も標高の高い山が、中禅寺湖南岸尾根に位置する足尾の大平山(1960m)です。
左端=横場山 ¦ 中央=大平山 ¦ 右前=松木尾根末端 ¦ 右端奥=社山
全国で大平山または太平山と表記されている山は98座あります。その中で最も標高の高い山が、中禅寺湖南岸尾根に位置する足尾の大平山(1960m)です。
かつて松木村があったころ、その山は "松木山" と呼ばれていました。足尾町発行の地図にも、松木山と表記されていました。さらには足尾郷土誌 (昭和53年発行)
のなかでも、松木山の名で紹介されていました。
けれども現在の地形図では "大平山" と記載されています。
( 足尾の ) 大平山 の呼び名 いろいろ
♦ 大平山 たいへいざん (おおひらやま)
中禅寺湖の南に連なる稜線の黒檜岳( くろびだけ )の南にある。
南麓を松木川が流れ、松木山ともいわれる。
出典 『三省堂 日本山名事典』 (2004)
♦ 大平山 おおひらやま
出典 『栃木県大百科事典』 (1980) 下野新聞社
♦ 大平山 おおひらさん
出典 『半月山展望台へようこそ』(平成16年 秋 日光市観光商工課) 現地案内板
No. | 読み方 | 山の数 |
---|---|---|
1 | おおひらやま | 59座 |
2 | たいへいざん | 12座 |
3 | おおだいらやま | 9座 |
4 | おおひらさん | 4座 |
5 | おおびらやま | 2座 |
6 | おおだいらさん | 1座 |
7 | だいひらやま | 1座 |
8 | たいへいやま | 1座 |
全国で大平山と表記されている山の数は『三省堂 日本山名事典(2004)』によれば89座あり、読み方は8通り存在します。
『三省堂 日本山名事典(2004)』参考作成右表
大平山眺望いろいろ
♦ 上間藤から
♦ "上の平" の裏山から
♦ 足倉沢源頭から
♦ 鋸山から
♦ 上の平から
♦ 松木尾根から
♦ 製作所に勤めていた方の回想文 (昭和4年(1929)生まれ)
…(前文略)そのうちに同じ職場に山仲間もでき、製作所と足尾機械の山好きを集めて「 ECHO (エコー) 」というグループを作りました。 …(中略)… 足尾の皇海山は名山として有名ですが、未開拓で、庚申山から皇海山までのハイキングコースを作ろうと、足尾山岳会として取り組んだのです。毎週のように土曜日、会社を終えてから舟石峠越えで庚申山山荘へ、翌日は皇海山までの道路作りです。それは大変でしたが、庚申 - 鋸 - 皇海とたどる良さは、全国にも誇れるでしょう。 …(中略)… 山行きで思い出深いのは、二月の雪の深いとき、松木尾根 (カラミ捨場の尾根) をたどり雪洞を掘って松木山に登ったことですね。(後略)…『第2部 町民がつづる足尾の百年』からの抜粋・上記、松木尾根(カラミ捨場の尾根)をたどるコースとは、このページトップ写真の、松木尾根末端からの登山コースです。
♦ カラミ堆積場跡 ♦ 松木尾根 ♦ 松木村跡
銅親水公園 ⇒ (林道歩き) ⇒ ・750直進 ⇒ (林道歩き) ⇒ ・773左折 ⇒
⇒ (林道歩き) ⇒ ・1151左折 ⇒ (林道歩き) ⇒・1356松木尾根に合流 ⇒
⇒ (松木尾根歩き) ⇒・1805展望台⇒ (松木尾根歩き) ⇒ 大平山山頂
銅(あかがね)親水公園の駐車場から久蔵川の左岸沿いを北に進みます。・750の分岐点では直進します。ここで左に折れると松木川、仁田元沢方面になります。・773の二股を左に進み久蔵川に架かる三ツ目橋を渡り、安蘇沢に沿って歩きます。・1151で左折して左の林道を進みます。
写真の右上から左へと延びる尾根が、松木尾根末端。中央の三角山が横場山(1017m)、その奥が中倉山です(写真:2009/09/17)。
♦ 標高点750mから、中倉山眺望
•773の分岐点で右に進むと阿世潟峠。
ここは左へ進み、久蔵川に架かる沈下橋(三ツ目構造の橋)を渡り、安蘇沢左岸を進みます。沈下橋から写真の右上に延びる道が安蘇沢沿いの林道です(写真:2011/12/12)。
(掲載写真は久蔵川の上流から沈下橋を写したもので、今回のコースから外れた地点
[ 02.]
から撮影したものです。)
写真の左手前から中央奥に流れる川が久蔵川。右端から合流する川が安蘇沢。遠景の山は石垣山と備前楯山(写真:2011/08/10)。
安蘇沢砂防堰堤を左に見て進み、間もなくして橋を渡り安蘇沢右岸を進みます。左から流れ込む淀沢(足口沢)に架かる橋を渡り、標高980m付近のヘアピンカーブを過ぎ進むと道が分岐します。
ここは右への急カーブ道を進み、・1151の分岐点を左に折れます。ここからは対岸の中倉尾根の展望が開けますが、廃道化した林道ですので注意して歩きましょう。
この区間(約2km)は、荒廃が著しく進んでいます。もちろん車の通行は不可能です。以前(平成23年)この林道を歩いた時は、山腹工事中のため工事用車両が通る安全な林道でした。が、・・・
淀沢コンクリート谷止の近くで、赤い実をつけた つる性の植物を見つけました。とげが多く毛が密生しているこの植物は、近所の家の垣根で茂っているので見覚えがありました。味ですか?(イチゴの仲間なので)もちろん
berryグッド(左写真:エビガライチゴ:2011/08/10)。
淀沢が林道の下を抜けて流れてゆきます。写真でも分かるかと思いますが、この時季は水量が多いです(右写真:淀沢:2011/08/10)。
♦ エビガライチゴ
♦ 林道からの眺望、中倉山と沢入山
今回の山歩きでは(2017/09/10)、この区間の林道は山腹の崩壊と倒木と土砂の流出で、歩くことさえ危険な状態でした。が、対岸に位置する「中倉尾根」の展望台として存在感のある天空の回廊でもあるのです。
そして、廃道化のため私の好きなウィーピング ラブ グラス も 生い茂り、天空の回廊を歩くような気持ちで「中倉尾根」を眺望する事ができました。
この区間は思いのほか楽しい林道歩きになりました(写真:2017/09/10)
♦ウィーピングラブグラス(シナダレ スズメ ガヤ):
南アフリカ原産の外来草本。日本には山腹緑化用として導入され、法面や自然崩壊斜面の緑化に用いられてきた。
足尾では昭和31年(1956)から本格的な復旧治山工事を行ってきたが、植栽された草の中では、ススキ、ウィーピングラブグラス、イタドリなどがよく育った。
♦大ナギ沢上流部のガレ沢から林道終点を望む(写真:2011/08/10)
♦今回の林道コースでは・1356から林道を外れ、松木尾根の稜線歩きになります。つまり、林道終点までは歩きません。
♦上掲写真は林道の終点まで歩き、さらに大ナギ沢上流部まで登って撮影しました。画面左の樹木が奥から手前に伐採された部分が林道の終点です。
標高点1356mで松木尾根の稜線に出ます。ここからは林道を離れ、尾根伝いに歩くことになります。取りあえずソーラーパネル迄の勾配の急な法面を上がって南西に広がる中倉尾根を一望しましょう。
♦ソーラーパネルからの中倉尾根眺望(写真:2017/09/10)
♦マウスでロールオーバした時の写真は、尾根歩きスタート地点にあるソーラーパネル。使用目的は不明です(写真:2017/09/10)。ここからは、少し急な登りになります。
・1356からは尾根歩きが始まりますが、ここでは常に尾根の中央付近を歩きましょう。標高1500m辺りから踏み跡が不明瞭になり、標高1600m辺りからは笹藪の高さは背丈ほどになり、ルートを外す恐れがあるからです。特に下山時は気を付けましょう。
クマが一頭、転げ落ちるように逃げていきました(向かってこなくて助かったー)。
(下山途中の出来事ですが)
深い笹藪を歩いていると、2・3メートル先で深い笹藪に潜んでいたシカが、突然飛び上がったのです。まるで潜水艦から発射された、ミ サ イ ル のようでした(クマでなくて良かったー
)。
というわけで、動物の気配にも注意して、クマよけ鈴も身につけて歩きましょう。
♦標高点1356mから "オロ山と皇海山" 眺望
ここまで来れば頂上までの標高差は僅か150m余り、丈の低い笹原のなだらかな斜面が続くだけです。
掲載写真、稜線上の右寄りに位置するピークが大平山の山頂です。
(写真:
2017/09/10 )
写真の右上から左下に走る稜線は、大平山の山頂から南西方角(・1765m)に延びる尾根です。遠景の山は鋸山と皇海山(写真:2017/09/10)。
♦標高点1805mから "大平山の山頂" 眺望
展望台の南に広がる中倉尾根。その岩壁に食い込む幾つもの沢筋。それが松木川に向かって真っ逆さまに落ちていく様は他に類を見ません。
(写真:中央奥が庚申山、その前がオロ山で、左に連なる尾根のピークが沢入山:2017/09/10)
展望台から北東の方角に視線を移すと男体山、社山を望むことができます(写真:2017/09/10)。
またこの場所はダケカンバ(カバノキ科)の疎林地帯でもあります。高原風景を象徴する木としてリゾート地などに植えられているシラカバ(カバノキ科)の木と異なり、それこそ本当に風雪に耐え抜いて生きている
"ダケカンバ" に出会うことができます
(下写真:2017/09/10)。
大平山山頂から南西の方角(・1765)に延びる尾根の標高1930mに乗るや否や、右に90°舵を切り、笹原を進み、林に入れば、頂上です。
といえども山頂名板がなければどこが頂上か分かりませんが、どうにか念願の大平山山頂に到着いたしました。感慨無量です(写真:2017/09/10)。
足尾山塊の山頂名板のほとんどは、足尾の山をこよなく愛する方々によって設置されたものです。
山頂名板の御蔭で、山頂に立った喜びもひとしおです。ありがとうございます。
左写真は、山頂からの眺望。
右写真は、山頂名板と二等三角点です。
古沢氏(ページ皇海山)
と同様に、私もまたそこに据えられた三角点の標石を、手のひらで撫でました(左右写真:2017/09/10)。
♦大平山の山頂からの眺望