足尾の渓流と魚たち
上流域の速い流れの河川を渓流というそうです。つまり栃木県日光市足尾町を流れる河川のほとんどが渓流となります。しかも、水温が低くイワナも生息できる源流域が大半を占めています。
上流域の速い流れの河川を渓流というそうです。つまり栃木県日光市足尾町を流れる河川のほとんどが渓流となります。しかも、水温が低くイワナも生息できる源流域が大半を占めています。
☆足尾渓谷の概況 a.早春の渓流 b.春の渓流 c.夏の仁田元 d.夏の庚申 e.夏の神子内 f.秋の渓流 g.冬の渓流 h.釣果 i.釣りの風景
足尾渓谷は眩しいくらいの緑で覆われ、深い崖の急峻な地形を流れる渓流は、イワナ、ヤマメの魚影が濃く釣りには大変興味深い所です。
足尾渓谷は、銅山の煙害に侵された松木川流域近辺以外はほぼ緑濃い渓谷です。
上流域は深い崖の急峻な地形で、下流域では段差が小さくなり流速も緩やかになります。
このようにさまざまな渓相が存在する足尾渓谷は、釣り人にとってわくわくする所です。
足尾の渓流の魅力は釣りだけでなく、源流という自然の中を歩ける素晴らしさをも秘めています。「源流域に連なる滝、原生林の息吹、思わぬ野生動物との遭遇、等」との出会いが魅力なのです。
熊が居そうな所を歩く時はラジオや鈴を携帯し、人間の存在を知らせてやってください。
(上左写真:カワガラス)
(上右写真:通洞発電所の水源として明治34年に造られた堰堤跡での釣り)
♦野生動物との出会い/向こう岸へジャンプ!!(写真:2010/09/04)
♦遺跡との出会い/間藤水力発電所跡(写真:2008/01/04)。
松木川(渡良瀬川)の河原にあります。右岸には昭和15年建設の本山小学校講堂があり、左岸の道路脇には発電用水圧鉄管が残っています。
今年も釣りのシーズンがやってきた。
今年は何処から釣ろうか。川や沢の数の多さから毎年頭を悩ます問題だ(左右写真:2006/03/21)。
本命の神子内川、餅ヶ瀬川、内の篭川、または銀山平下の庚申川からか、はたまた久蔵沢、仁田元沢、松木川 等の山岳渓流からか、とにかく迷います(写真:2006/03/21)。
魚の活性がまだまだ低い春の昼下がり、ダウンクロスで釣り始める。このときのルアーはサスペンドタイプのミノーで、遅いリーリングでトライした。この淵、二投目でヤマメをゲット。
堰堤下は落差が大きいので落込み以上の白泡が渦巻きます。そのため大物が潜み、堰堤下は釣りにとっては重要なポイントの一つとなります。
石や大岩に妨げられ変化に富んだ源流の新緑の中を釣り進みます。
庚申川の左岸支流にある沢で、銀山平近辺ながら源流域という自然の素晴らしさをも秘めています。写真は丸石沢中間地点での釣りです。
♦丸石沢にて
6月ともなると、庚申山付近を源とする 仁田元渓流は樹影濃い渓谷で眩しいくらいの緑で覆われます。堰堤の落水による水しぶきが銀色の霧となって、底に潜んでいる魚たちを見守っています。
"夕立に誘われ出でし山女かな" とおる
虹色の湖は、銀山平にある堰堤湖です。この堰堤に流れ込む流路は複雑な地形の為何度も変化しています。
立ち枯れた樹木のあるこの池は、上高地の大正池と同様に神秘的な雰囲気の漂う池です。しかし、水深は年々浅くなりこの立ち枯れ風景もいつまで見ることができるでしょうか。
この池で、堰堤釣りの必殺釣法 "チョンチョン釣り" でヤマメを釣り上げました。
♦チョンチョン釣り (-_-;) :岸から突き出している樹の枝を越えてルアーを投げ込み糸を枝に絡めそのまま水面にルアーを落とし込んでチョンチョンとルアーを上下させて釣る方法で、
私が編み出した堰堤釣りの必殺釣法 (ー_ー)!! 。
この釣り方を意図的に実行できる人は、釣りの名人といえるでしょう (^_^;) 。
♦立ち枯れた樹木のある小滝川ダム
♦土砂の堆積により浅く狭くなった小滝川ダム
庚申川の小さな落込み。狙いを定めた一投目で、その時が来ました。
"ヤマメ半日、イワナ一日 "の諺どおりなかなか釣れないイワナが、一投目で いきなり釣れたのです。釣りにはタイミングが必要ですが、一投目で釣れたのはまさにグッドタイミングでした(右写真)。
左の写真は、平瀬をトゥイッチングで釣り上げた時のイワナです。
♦トゥイッチング: 竿先を左右に小刻みに動かし、変則的な動きをルアーに与えるテクニック。
原生林の広がる庚申渓谷の雰囲気は、というと、まさに"木下闇"の一言で表すことができるでしょう。ゴルジュ状の渓谷と水量の多い淵(左写真:2010/07/19)。
右写真の滝は、坑夫滝です(右写真:2010/07/19)。
" 木下闇光風の滝に風渡る " とおる
(こしたやみ こうふのたきに かぜわたる)
♦滝の音が聞こえてくる、木下闇の世界
♦ 木下闇 ( こしたやみ) : 夏木立がうっそうと茂って、昼なお暗いさまを木下闇といい、略して下闇ともいう。
木下闇の闇は、暗黒ということではなく、暗さを感ずることの表示で、明るい場所から茂った樹林の中にはいったときなど、特にこういう感じが深い。(抜粋) 図説俳句大歳時記 角川書店
丸石沢と庚申川との出合は、銀山平の上部左岸に位置します。この出合から丸石沢を遡行すると途中で庚申山渓谷林道と交差します。ここからの上流も大きな岩や滝を連ねた小沢が続きます(写真左右:2009/07/05)。
神子内川は、国道122号に平行して足尾の各地区(中村、大内、神子内、野路又、間藤、渡良瀬)の道路脇を流れる最も入渓しやすい川です。
しかし、この穏やかな川にも ぬし と呼ばれる大物が潜んでいます。
夏の渓流は爽快感100%です。
さわやかな風は木々の葉をそよがせ、水しぶきは岩肌を濡らします。
ソォーです。ここに居るだけで幸せなのです。
(写真:2004年8月中旬)
この時期、足尾の渓流は水量がとても多い。
それは、7月、8月、9月の3ヶ月間に降水量が集中し、年降水量の47%にも達する足尾特有の気象環境によるのです。
(気象庁資料:統計期間1979年~2000年の22年間の平均)
3枚の写真は全て 釣り人 が写っています。足尾渓流での釣りの醍醐味を、この写真で味わってください(写真:2005/09/04)。
爺ヶ沢集落跡と広道路集落跡の間にある滝。滝壺水面のうねりには圧倒されます。
一般的に秋は寂しさが感じられる季節です。もちろん足尾の渓谷にも、どことなく寂しさが感じられ、太陽の光さえ秋の色になってきました。
(左写真:野路又にて2004/09/12)
(右写真:釣竿にとまる赤とんぼ神子内にて:2010/09/04)
" 今朝の日の色は透明冬隣 " とおる
雪どけ水も入って小さな沢は水がいっぱいです。
落ち葉のふとんで眠っていたヤマメですが、水量の増えた雪どけ水で、落ち葉が流されてしまいました。もう春です。やがて木々に若葉が芽吹き始め、鳥の声も聞こえてきます。
"雪解や寝床流されヤマメ出で" とおる
渓流の女王ヤマメをゲット、充実した気持ちになれるひとときです。
♦岩に潜む岩魚 (丸石沢)
♦5cm ミノーでゲット (神子内川)
淡い色の青インクが、体側の内側からにじみでたようなパーマーク。その美しさが、釣り人の心をひきつけて渓流釣りに夢中にさせてしまうのでしょう。
♦餅ヶ瀬川の「山女」(写真:2005/04/04)
入渓地点に着くまでは各人が、それぞれ好き勝手な希望(野望?)をいだいて歩くので、まったく疲れを感じません。入渓地点ですか? 神子内川では、少なくとも橋の付近から川に下りることができます。松木川 ・久蔵沢 ・仁田元沢においては三川合流地点から溯上します。庚申川では銀山平キャンプ場付近から溯上すれば良いでしょう。
右の写真は、釣り前のタックル準備作業です。気が急くが、ここは落ち着いて作業しましょう。
渓流釣りで最も重要な技術は釣る技術ではなく、"遡行術"でしょう。その中でも"徒渉術"は安全に直接かかわる重要な事項と考えています。
特に落ち込みと落ち込み間が短く落差の大きい急流の徒渉は、細心の注意を払いましょう(左写真:2005/07/23)。
右の写真は、徒渉の名人ニホンザルのすばらしいジャンプです(右写真:2010/09/04)。
♦遡行(そこう):渓谷沿いに登降する方法
♦徒渉(としょう):川を歩いて渡ること
木々が芽吹くころは、雪解けによる増水の時季でもあります。渓流魚の体力はまだ完全に回復していないので、増水の影響が少ない淵などについている率が高そうです(左右写真:2007/05/03)。
上流に行けば行くほど、落込みと落込み間が短くなっているのが特徴です。両側の急斜面に茂る樹木の根元には、転がり落ちた岩石が微妙なバランスで とまっている場合があります。僅かな衝撃でも転がり落ちる可能性はとても大きく、源流域での注意事項の一つに挙げられます。
釣り上がり、のんびりした気分で過ごす釣り仲間とのひと時は、計り知れない程の楽しさがあります。また、渓流では瀬音に消されて仲間の声が届かない場合が多々あります。ホイッスルで、仲間に合図を送れるので携帯すると重宝します(足尾の渓流ではスマホが圏外になってしまいます)。
♦新緑の季節は、自然の懐に抱かれて魚たちと遊ぶ絶好の機会なのです。
♦神子内川にて(写真:2011/09/06)
♦渓流釣りの極意 ! それは、木化け石化け(写真:2007/05/04)。