四季折々に移り変わる栃木県日光市足尾町の自然と生活を描写した歌曲があります。現在は正午を告げるチャイムとしても、地域のみなさんに親しまれています。
5月3日、待ちに待ってたこの日がやってきた。朝8時、花火がドーンパチパチと打ちあがり、関係者の皆さん準備に大忙し。
山車の上では子供達が、ひょっとこおかめの面をつけ、お囃子に合わせて踊り跳ね、この身振り手振りがひょうきんで、おどけて面白く可愛らしく、山神様も大喜び。
「ソレ ソーレ それ そーれ」 来年はヒョットコの面をつけ、山車の上で踊るんだと、父親の肩の上で思う男の子。
山車どうしのすれ違い。競演・共演・響演・協演・狂演 それが 足尾まつり。
山車の中でも子供達が、「ソレ、ソーレ」の掛け声とともに、笛と太鼓を吹き打ちならし、子供達の元気が足尾の里に こだまして、町全体が一日中、祭りの歓喜に包まれる。
足尾銅山山神祭は、明治から昭和48年(1973)の閉山まで、山神社に奉納された祭でした。閉山後は廃止となりましたが、昭和52年(1977)足尾まつりとして再開された祭りです。
毎年5月3日に実施され、当日は町内各地区から、みこしや山車が出て終日にぎわいます。
左写真の人形は、通洞駅から歩いて数分の所にある "足尾歴史館"に展示されている足尾の郷土人形、"山の神"です。
右写真は、天狗姿の猿田彦命(サルタヒコノミコト)が山車行列の先導役を務めているところです。
それぞれの神様は、人々の幸せを守る神様で、姿格好もよく似ています(左右写真:2008/05/03)。
写真左上に貼りつけたシールは 赤沢自治会の方から頂いたものです(^^)/
右端にある橋が渡良瀬橋、Uの字に流れる川が渡良瀬川、清々しい緑に囲まれた建物は掛水倶楽部、後方中央の山は有越(ありこし)山です(写真:2007/05/05)。
この渡良瀬橋の下流から足尾中学校までの区間で、毎年8月には、釣り大会が行なわれています。
♦ 「渡良瀬」という地名の由来 :
日光開山の祖といわれている勝道上人がこの地に着いたとき、川には橋がなかった。そこで、川の浅瀬を見つけ、無事に対岸に渡ることができた。以来、この地を渡良瀬という。
白樺の新緑と、土台石の白さが春のすがすがしさを演出します(左写真:2006/05/03)。
渡良瀬川で隔てられた対岸では、サクラの花が咲き誇っています。
(右写真:2011/04/28)
♦ 掛水倶楽部: 大正初期に改築されたこの建物は外観は洋風、内部は和洋折衷の木造建築で、古河鉱業が接待や宿舎に使用していた。
春を告げる花として有名なレンギョウが、今を盛りと咲いています。鮮やかな黄色の花が群がり咲く様子には、春の象徴のような勢いがあります。
レンギョウは英語でgoldenbell(金色の鐘)というそうですが、黄色の筒状花を枝ごとにびっしりとつけた様子を見るにつけ、ぴったりあてはまるネーミングと感心します。
背後の建物は渡良瀬浴場です(写真:2011/04/28)。
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レンギョウ(連翹):漢名の連翹の「翹」は枝がすくすくと伸びて花をつけている形を、鳥の尾の長い羽にたとえたものといわれている。この名も、ぴったりあてはまるネーミングと感心します。
足尾の八か所の景勝を選んだ絵はがきがありました。
"足尾八景" と題するその絵はがきは大正時代に発行されその中に "花の渡良瀬" がありました。
今でも足尾の春を代表するのは、"渡良瀬公園" の、桜の花でしょう。
(左写真:渡良瀬橋を撮影 2011/04/28)
(右写真:渡良瀬橋から撮影 2011/04/28)
花の渡良瀬公園から掛水倶楽部
人々は祭に出かけ、ひとけの無い校庭周りに咲く花々達は、耳を傾けて遠くのお囃子を聞いています。
このようにして足尾の遅い春は、祭りと共に一気にやってくるのです(写真:2008/05/03)。
梅林公園には観賞用、果樹用合わせて6種類
約200本の梅が植栽されています。この公園は昭和59年(1984)に開設されました。
この場所は足尾バイパス(国道122号線)の下を横切って流れる大クツ沢の右岸に位置する道路から200メートル入ったところにあります(上写真:2012/04/16)。
初夏のあざやかな緑の若葉のなかに立つ通洞選鉱所を、足尾歴史館の二階から写しました。ベストビューポイントです。
春の日差しを受けて枝いっぱいにつけたサンシュユの花。庚申渓谷の林道の斜面で、黄金色に輝いていました(写真:2008/03/30)。
思わず、民謡『ひえつき節』の一節、〽庭のサンシューの木に…
を、口ずさんでいました。
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ひえつき節の中に出てくる"サンシューの木"は、「サンシュユ(山茱萸)の木」でなく、「サンショウ(山椒)の木」だそうです。
庚申川の左岸ガレ場を、息を切らして登っている時、目の前に色鮮やかに咲いているフキノトウを発見。これまた春を告げる存在のフキノトウ(写真:2008/03/30)。
フキノトウといえば、野趣あふれる香りと苦味が特徴です。食するには2月から3月にかけて出てくるのが最高にうまいのです。
庚申渓谷の林道を散策していると、路上で葉っぱを食っている気味悪い虫に遭遇しました。全身紺色の金属光沢で、腹部は大きく動きは遅い。春、山野に出現する毒虫でしたが、一日中ひとり歩きでしたので、友達に出会えた気持になり思わずシャッターボタンを押してしまいました(写真:2008/03/30)。
早春の庚申川沿いの明るい雑木林で、一羽の鳥に出会った。
11月頃から4月まで滞在している冬鳥のジョウビタキだ。
この鳥が繁殖地の韓国やシベリヤへ旅立つと、まもなく本格的な春がやってきます。
(写真:2008/03/30)
足を止め、渡良瀬公園の花を眺めると、たくさんの小鳥が枝から枝へと跳ね回っていました。
それはサクラの花蜜を求めて枝移りしているメジロの群れで、その光景はまさに目白押しの状態でした(写真:2011/04/28)。
枝から枝へと跳ね回っているメジロ
【不要不急の外出を控え、ウチで過ごそう】ということでバードカービングに挑戦してみました(上写真:2020/04/30)。
柔らかくて加工しやすい東南アジア産のジェルトン材を、切り出しナイフで彫り込んで着色しました。太さ1.2mmの銅線で足を、0.9mmの真鍮線で指を作り先端を金槌で打ち、ニッパーで斜めに切断して爪を作りました。4本の指は、糸を巻きつけ肉付けしました。無事にメジロを仕上げることができました。